2023年 02月 01日
**二月の花:ロウバイの香り**
冬の一番寒い頃に、葉も無い黒々とした枝先に、黄色の可愛い蝋細工のような花をいっぱいつけて、凛とした甘さを含んだ良い香りが漂います。
ずいぶんと前の遠いことになってしまいましたが、父が病院から帰宅できなくなった冬に、庭先に咲いた蝋梅を二枝ほど病室にもっていったことがありました。
庭仕事が好きだった父も、冬の寒さの中で香る蝋梅の香りが好きでしたから、病室で楽しんでもらおうと思ったのです。
ところが病室に置いた蝋梅からは、なにか別のもののような臭いしか感じられません。
病室には早咲きの日本水仙の花を置いて、蝋梅は持ち帰り、冷え切った玄関先の竹筒に指しました。暫くすると、玄関先は深呼吸がしたくなるほどの蝋梅の香りでいっぱいになっていました。
寒さの中でしか嗅ぐことのできない蝋梅の香りは、病室の父に届けることはできませんでしたが、それ以降、蝋梅の潔い香りが冬の楽しみになりました。
by k56422
| 2023-02-01 23:55
| 季節のあれこれ
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